費用収益対応の原則

一会計期間における企業の業績を示す損益計算書を作成するにあたって、費用収益対応の原則はとても大事なものとなります。費用収益対応の原則を理解することで、損益計算書の数字の意味がかなり理解しやすくなると思います。

費用収益対応の原則とは、簡単にいうと、損益計算書を作成するにあたり、獲得した収益を計上して、その収益の獲得に要した費用を計上することで、収益から費用を差し引いた正味の活動の成果を計算するものです。

損益計算書で計算される収益や費用は、基本的に、発生主義という原則で、現預金の動きだけではなく、実態として発生したかどうかで計上するかを判断します。しかし、発生主義だけでは、計上の判断が恣意的になってしまい、損益計算書の数字が信用できないものになってしまうため、制度的に客観性や確実性を担保するものでなければなりません。

そのため、収益は基本的に実現主義という客観性や確実性が担保されている原則で計上されます。それにより、収益の計上においては、その企業活動と感覚的に整合することが多く、迷うことは多くないと思います。例えば、商品を売ってお客さんに渡した時点でその売渡金額を計上する、工事を行ってその工事が完了した時点で契約によって得られる金額を計上するといったものです。

なお、収益の計上においても、収益認識基準や工事進行基準など様々な制度があり、計上の方法がその企業活動の感覚的なものとは異なることもありますのでご留意いただきたいと思います。ただし、日本の中小企業や個人事業においては、収益の計上は、通常、その企業活動と感覚的に整合しているものが多く、その計上について理解をしやすいと思います。

その収益に対して、費用の方が理解しづらいことが多いと思います。その費用の計上の理解を助けるものが、費用収益対応の原則です。

この収益と費用の対応では、個別対応と期間対応に大別できます。

個別対応は収益と費用が直接的に対応するものです。例えば小売業で、今期は、商品を10万円分仕入れてきて、5万円分を販売したが、残りの5万円分は残っているとします。このとき、収益を獲得するために、実際に費消した商品は5万円なので、今期の費用は5万円ということになります。残りの5万円分の商品は貸借対照表に資産として計上されて、翌期以降に費用となります。

これは製造業でも基本的に同様です。製品を製造するために必要となった費用を集計する原価計算というもので、製品の製造費用を計算することが必要となりますが、製造した製品のすべてが費用となるのではなく、今期に売った分だけが費用となることが基本の計算方法となります。

この個別対応は収益と費用が直接結びついているので理解しやすいと思います。それに対して、収益と費用の関係がわかりづらいものもあると思います。そのような収益との関係が明らかでない費用については、期間対応という原則で、費用を計上します。

期間対応は、会計期間を収益と費用の対応の媒介とするものです。これについては、収益と費用の関係が明らかでないので、会計期間を収益と費用の対応において結びつけるものとして位置づけ、そのような費用については発生した期間に損益計算書に計上します。収益を計上した期間と同一の期間に費用が発生したということで、収益と費用が期間を媒介として対応しているということとなります。

例えば、製造業で、総務等をしている事務職員の給与は、どの製品の売上に対応するか個別に判断することは難しいと思います。そのような場合、その給与が発生した期間に費用計上して、その期間に計上した売上との対応をとるようにしています。給与費用が発生するときは、従業員が勤務したときになるので、勤務の実態に合わせて給与費用を計上するということになります。

損益計算書を作成するにあたって、収益と直接対応している商品等の費用の計上は分かりやすいのに対して、収益と直接対応していないものについては、いつ計上すればよいか迷うことがあるかと思います。そのような場合は、この期間対応という原則で、基本的には、その費用について発生した期間に計上するということになります。