望ましい決算日

それでは、決算日をいつにすればよいか考えます。

法人には繁忙期がはっきりとあるということも多いと思います。そのような場合、1年の売り上げのうちのかなりの部分が繁忙期に偏って上がってくるということがあり、もしそれが決算日直前という場合はどうでしょうか。この場合、決算日直前になってようやく1年の業績がはっきりわかってくるということになり、節税計画が立てづらくなってしまいます。

節税は、様々な方法がありますが、基本的に数か月間の準備期間が必要となることが多いと思います。そのため、法人にとって大切な節税の選択肢を、十分に対策検討できないということになってしまいます。節税は毎年のことですので、何十年と法人を経営するにあたり、節税の計画の巧拙の影響が、何十年という積み重ねでとても大きなものとなるかもしれません。そのため、決算日直前に繁忙期が終わるというようなものは、計画的な節税という面から望ましくない面があると思います。

また、原則として、決算日から2か月以内に法人税等の申告書を提出しなければならないので、この2か月間は通常業務のほかに決算業務が追加で生じることとなります。よって、決算日から2か月の間は、法人の業務遂行能力の平常のキャパシティを超えないように(超えると残業代など余分なコストが生じてしまいます)、もしくは元から余分なキャパシティを持たないで済むように、繁忙期を避けて、1年を通しての業務量をなるべく平準化することがよいと思います。

繁忙期と閑散期の差がとても大きい場合、繁忙期の業務量に耐えられるだけの体制を整えるために、閑散期では必要のないリソースを抱えてしまい、法人としては無駄なコストが多くなってしまう可能性があります。

そして、決算日後2か月以内に原則として法人税や、消費税、法人住民税を納付する必要がありますので、納税資金を確保できる時期に、納付時期が来るようにすることも考慮する必要があります。

以上のことから、決算日から2か月後の法人税申告書等の提出期限後の間もない時期に、繁忙期が始まってくるような決算日が、納税の資金繰りにも留意することを前提として、選択肢として検討に値すると思います。