望ましい決算日

法人の決算日は比較的簡単に変更が可能ですので、それぞれの法人の業態に適した決算日への変更を検討するとよいと思います。

法人は法人税法などによって、基本的に一定期間の利益を国や地方自治体に申告しなければなりません。その一定期間の最終日に当たるものが決算日となります。決算日は法人が自由に決めることができて、変更も基本的に自由に行うことができます。

決算日の変更には次の手続きが必要となります。まず、株主総会を開催して(ここでは株式会社を前提として考えます)、決算日の変更について決議して、それを株主総会議事録として文書化します。それをもとに、定款の決算期の規定を変更します。

そして、税務署、都道府県税事務所、市区町村に「異動届出書」を提出します。そのとき、決算日の変更に係る株主総会議事録のコピーを「異動届出書」と一緒に提出します。「異動届出書」の提出期限は明確には定められていませんが、変更後の決算日に係る法人税申告書の提出期限までに提出すべきと考えられます。

なお、変更の株主総会の決議は、変更後の最初の決算日以前にする必要がありますので、総会議事録の決議日もその決算日以前の日付となります。

このように、法人の規模が小さい場合は、あまり煩わしい手続きではなく、比較的容易に行うことができます。

それでは、決算日をいつにすればよいか考えます。

法人には繁忙期がはっきりとあるということも多いと思います。そのような場合、1年の売り上げのうちのかなりの部分が繁忙期に偏って上がってくるということがあり、もしそれが決算日直前という場合はどうでしょうか。この場合、決算日直前になってようやく1年の業績がはっきりわかってくるということになり、節税計画が立てづらくなってしまいます。

節税は、様々な方法がありますが、基本的に数か月間の準備期間が必要となることが多いと思います。そのため、法人にとって大切な節税の選択肢を、十分に対策検討できないということになってしまいます。節税は毎年のことですので、何十年と法人を経営するにあたり、節税の計画の巧拙の影響が、何十年という積み重ねでとても大きなものとなるかもしれません。そのため、決算日直前に繁忙期が終わるというようなものは、計画的な節税という面から望ましくない面があると思います。

また、原則として、決算日から2か月以内に法人税等の申告書を提出しなければならないので、この2か月間は通常業務のほかに決算業務が追加で生じることとなります。よって、決算日から2か月の間は、法人の業務遂行能力の平常のキャパシティを超えないように(超えると残業代など余分なコストが生じてしまいます)、もしくは元から余分なキャパシティを持たないで済むように、繁忙期を避けて、1年を通しての業務量をなるべく平準化することがよいと思います。

繁忙期と閑散期の差がとても大きい場合、繁忙期の業務量に耐えられるだけの体制を整えるために、閑散期では必要のないリソースを抱えてしまい、法人としては無駄なコストが多くなってしまう可能性があります。

そして、決算日後2か月以内に原則として法人税や、消費税、法人住民税を納付する必要がありますので、納税資金を確保できる時期に、納付時期が来るようにすることも考慮する必要があります。

以上のことから、決算日から2か月後の法人税申告書等の提出期限後の間もない時期に、繁忙期が始まってくるような決算日が、納税の資金繰りにも留意することを前提として、選択肢として検討に値すると思います。