基礎控除による国債等の源泉税還付

証券会社等の特定口座は基本的に確定申告をしなくていいのですが、場合によっては確定申告をすることにより、税金が還付されて得をすることがあります。得をする場合は様々なものがありますが、ここでは使い切れていない基礎控除を活用することを考えます。

所得税では、基礎控除という、税金を計算するときに差し引いて、税金を少なくすることができるものがあります。そして、国に納める所得税だけではなくて、都道府県民税や市区町村民税、健康保険料の計算においても、基礎控除という税金を少なくするものがあります。

人によっては、ある程度の資産があるけれども、収入は多くない方もいると思います。

それについて、年金暮らしの方が該当する場合があると思います。これまでに蓄えた資産がある程度あるものの、今は働いていなくて収入は年金のみという場合です。

公的年金は税金を計算するときの控除額が大きいです。例えば、65歳以上の方が国民年金の満額の年間80万円ほどをもらっても、所得税の計算ではこの公的年金控除のため、年金収入はゼロとなります。

この場合、基礎控除を使う前の段階でゼロとなっているため、基礎控除が余っている状態となっています。

具体例として、ある65歳以上の方が、4千万円の日本国債を年利1%で持っていて、その金利以外の収入は公的年金の年間80万円だけという場合を考えます。

国債を証券会社の源泉徴収ありの特定口座で持っているときは、その収入について、個人の所得税を国に申告する確定申告をしないことを選択することができます。

この場合、申告はしていないものの、4千万円の1%の40万円の利子に、源泉徴収税という前もって差し引かれるものが2割程度あります。そのため、実際に受取れる収入は40万円の約2割の8万円を差し引いた32万円ほどになります。

ここで、この方が、確定申告でこの4千万円の利子収入を申告した場合、所得税の基礎控除の95万円を使って、40万円の利子収入は計算上ゼロということになり、払いすぎた源泉徴収税の8万円ほどが返金されることになります。

そして、都道府県民税や市区町村民税、健康保険料の計算でも基礎控除が使えます。所得税は国に納める税金で、所得税で得になっても他の税金等で損になることもあるので、全体として得になるかを考える必要があります。

所得税で国に申告した場合、その申告内容は基本的に都道府県民税や市区町村民税、健康保険料の計算でも使われることとなります。

都道府県民税や市区町村民税、健康保険料の計算での基礎控除は、所得税とは金額が異なり、基本的に43万円です。利子収入の40万円から基礎控除の43万円を差し引くことにより、都道府県民税や市区町村民税、健康保険料の計算でも申告した利子収入はゼロとなり、追加の負担が発生しません。

収入はあまりなくて基礎控除が余っていて、資産はある程度ある方は少なくないと思います。そのような方が、資産の大半を銀行の預金で持っている場合も多いと思います。このことについて、銀行の預金は基本的に元本が減るリスクがないので、銀行預金で持つという選択をしていると思います。しかし、銀行の預金は、源泉分離課税といって、約20%の源泉徴収税を差し引かれた利息を受け取ることで課税関係が完結して、通常は確定申告をすることはできず、税金の還付はありません。

元本が減るリスクがないことは基本的に日本の国債も同じです。国債の満期までの途中売却で元本が減るリスクはありますが、途中売却する可能性が低い場合、銀行の預金ではなく、国債で資産を保有することを検討する余地があると思います。国債で保有した場合、上記のように使っていない基礎控除を活用して、約20%の源泉徴収税の還付を期待できる場合があります。