GPIFの資産運用方法

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、日本の厚生年金と国民年金の積立金の運用を行っている組織です。その運用方法は、資産運用のプロではない一般の方が、個人の資産運用をするうえでとても参考になります。

GPIFの資産運用は、国民から預かっている年金積立金を運用するため、あまり大きな損失があってはならず、前提として手堅くいかなければなりません。
また、将来の年金給付に資するために、ある程度の利益を確保したい思いもあります。
そのバランスをとれるように、資産運用についてのレベルの高いプロが練り上げたものが、GPIFの資産運用方法となっています。

現在の年金積立金の長期的な運用目標は、年平均で、賃金上昇率に1.9%を加えたものとなっています。
1980年代のバブルの頃は、定期預金の利息が年率5%を超えているときもあったので、あまり高くない印象を受けるかもしれません。しかし、この定期預金利息は名目のもので、その時の物価上昇率を考慮すると、実質の利息はもっと低いことがあります。
例えば、物価上昇率が年率3%で、定期預金利息が5%のときは、その定期預金利息の実質の利息は5-3の年率2%となります。
そのように考えると、GPIFの運用目標の1.9%はある程度の高い目標を目指しているともいえます。

そして、GPIFの実際の運用利回りは、2001年から2023年までで、年率4.24%で、これは名目賃金上昇率を差し引いた実質のものとなります。将来どのような運用利回りになるか分かりませんが、これまでの実績ではまずまずの成績といえるのではないでしょうか。2001年から2023年までは、日本ではゼロ金利が中心でしたので、定期預金での運用では利回りがほとんど0だったでしょう。その差を考えると、GPIFがどのように資産運用しているか学ぶ価値があります。

GPIFが2020年4月から採用している投資資産の構成割合は、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4つで25%ずつとなっています。そして、この割合から乖離した場合には、この25%ずつの構成割合に戻すために、必要に応じた投資資産の売買によってリバランスを行い、目標の25%ずつの構成割合に戻しています。
主な運用方法は、パッシブ運用で、市場全体の動きに、GPIFの投資資産も連動するようにしています。